宇宙は、できるかぎり冷たくなっています。ですから、この写真の天体が、燃えあがるような赤い雲に、白熱状態の中心から、まさに炎のように見えることは、おかしいですよね。大きい青い星は、火の粉のようにさえ見えますね。
この天体はガスとちりの雲でできた星雲で、上のほうは炎のように見えますが、実際にも熱くなっています。また、いっしょに写っている青い星はほんとうは、星雲の手前、地球にもっと近いところにあります。
燃えさかる炎の中心とおなじで、この星雲で最も熱い部分は、たくさんの巨大な若い星がかくれている中心の明るい場所です。この写真で見ることはできませんが、これらの星はまわりに重大な影響(えいきょう)をおよぼしています。
星雲の中心のガスは、若い星によってはげしく熱されています。そのガスがあたたまり、膨張してまわりの冷たい赤いガスの中を進みます。まるで、沸とうしているヤカンから上がっている蒸気のようですね。
熱いガスがいったん冷たいガス雲のふちにたどりつくと、それは宇宙の冷えた闇(やみ)へむけて爆発(ばくはつ)します。プシューと泡立つ飲み物のシャンパンを開けるときに似たようすから、「シャンパン流れ」として知られています。
そして、この星雲は、わずかな泡を出すだけでなく、多くのことを教えてくれます。この雲の中で、たくさんの星が誕生しているというできごとがあったのです。いいかえれば、星の一生のなかで、いろいろなちがう時代のようすが見られるということになります。星が生まれて、成長するようすを研究している天文学者にとって、星雲はたいへん興味があるものです。
知っ得ダネ
この星雲では、とても高い割合で星が消えています。でも、たくさんの星の種がここで死んでいるわけではありません。天文学で、「星が消える(専門的には「星間吸収」といいます)」というのは、星からでた光が、宇宙のチリによってその一部が隠されて、地球上の私たちの目や望遠鏡に達することができないだけです。
この記事はESOからの発表報道によります。
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