この8月、探査機ロゼッタと着陸機フィラエは、10年の宇宙の旅のすえ、ついにその目的地、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)に到着しました。その後ロゼッタはどんどんと向きを変えながら彗星に近づき、次の任務であるフィラエを彗星に着陸させる準備をしてきました。
ロゼッタが近づけば近づくほど、この奇妙な世界は、どんどん素晴らしいものになってきました。彗星表面にはクレーターや切り立った崖(がけ)、そして家ほどの大きさの岩が散乱していました。さらに気体とチリのまざった流れが彗星表面から吹き出ているのさえ確認できました。
科学者たちは何週間も彗星の表面を調べて、フィラエが着陸するのに一番良いところをしんちょうに選びました。着陸地点が決まると、次のステップは、フィラエがその地点へ確実にたどりつくコースを選ぶことでした。
ついに、フィラエが母艦(ぼかん)のロゼッタとさようならをし、今までにない大きなちょう戦をする時こくになりました。昨日(2014年11月12日)の朝早く、フィラエは彗星表面への長い降下(こうか)を始めました。7時間ものハラハラするする時間、私たちはただいすにすわって、フィラエが長い空間をただよいながらおりていくのを待つこと以外、なにもできませんでした。もしもフィラエがコースを外れても、コントロールする方法はありませんでした。
そしてついに、ホッとした大きなため息と拍手(はくしゅ)がいっせいに起こりました。フィラエからの信号、フィラエが彗星表面にぶじに着陸し、この素晴らしい仕事をやりとげた、という信号を、私たちは受け取ることができたのです!
すでにフィラエは、この魅力的(みりょくてき)な彗星という小世界について、できる限りの情報を集め始めています。彗星の周りをはなれずに回っているロゼッタと協力して、この小さな宇宙探査機は、太陽系で最も古い天体の1つ、彗星についての私たちの理解を深めてくれることでしょう。
知っ得ダネ
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)は、現在のところ太陽の方向にむかって時速6万kmの猛(もう)スピードで進んでいます。これはスペースシャトルの2倍以上速いスピードです。
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