顔の前で手を伸ばしてください。目と手の間の空間はからっぽだといえますか?からっぽのように見えますが、もちろん、そうではありません。私たちのまわりの空気が、見えない粒子で満たされているということを私たちは知っています。特に、私たちが生きていくために、何よりもまず必要な酸素があります。
さあ、宇宙に浮いている間、同じようにしてみると想像してください。そんな状況で、目と手の間の空間がまったく空っぽだと、まちがいなくそう思うでしょう。
これは、宇宙のほとんどの場所は真空だからです。気体の粒子ひとつやひとかけのちりもなく、それは完全に空っぽであるという意味です。真空というのは、誰かが掃除機を使って宇宙空間から全てのものを吸い取ったようなものです。
しかしながら、宇宙の多くが真空である一方、そうではない場所もあります。これらは、銀河中の星々の間で宇宙ガスとちりが浮んでいる場所です。私たちは、これを星間物質(略してISM)と呼びます。
ISMは、じょうだん抜きに薄いです。ティースプーン1杯のISMと同じ量の地球の大気をすくうなら、地球の大気はその100兆倍多くの粒子を含むはずです。
しかしISMは時間をかけて固まっていき、大きくて重いガスとちりのかたまりを形作っていき、ちょうどこの写真のように、やがて大きな星雲を作っていきます。
この写真で背景の星を消している雲は、暗黒星雲と呼ばれている一種の宇宙の雲です。宇宙にある全てのほかの雲(星雲)のように、これもガスとちりからできています。それらは、よく見られる気味悪く青く光る星雲や、あざやかなピンク色の星雲と違って、暗黒星雲はしっかり厚いので背景や星雲の中にあるすべての星の光をさえぎってしまいます。
地上から見える暗い雨雲の隙間を通って、明るく輝く太陽のように、星明りもいつかこの雲を突き抜けて輝くでしょう。この雲の奥深く星の材料がたまったところでは、ある日、急激に明るく光り輝く新しい星々をつくっています。
知っ得ダネ
天文学者は、結局どれくらいの星がこの雲の領域内で輝いているのかについて、必ずしも意見は一致していません。2つの研究報告は、星雲が太陽の250倍のおおきさの星をつくるという意見であり、また1600個の星ができたという意見にわかれました。
この記事はESOの発表記事に基づきます。
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