宇宙の写真のいくつかは、ほかの人に見せるのがすごくもったいないと思うことがあります。こんなことは、遠い遠い宇宙の写真を撮ったときに、よくあります。この新しい、目をみはるほど素晴らしい写真は、ヨーロッパ南天天文台で撮ったものですが、これがそういう一つの例です。この写真に写っているのは、あまり知られていませんが、宇宙のガスと塵(ちり)でてきている、ガム15星雲です。
この写真を撮ったのは、地球上でも最も厳しい環境の土地につくられた大望遠鏡です。そこは、とっても乾いていて、町からとてもはなれたところ、南アメリカのチリ共和国のアタカマ砂漠です。そこはとっても荒涼(こうりょう)としていて、よく火星の風景にたとえられます。科学者は後に使う予定の、火星の生命探査機の走行テストに、この砂漠を使うくらいです。そしてもちろん、ここではなにも生命は発見できません!
こう書くと、アタカマ砂漠は誰も行きたくない土地のようですが、望遠鏡にとっては理想的な土地です。水はとっても少ないので、雲がかかって夜空をおおうことも、まずありません。おまけに近くに都会や町はもちろん、家一軒ありません。ということは、光害もなければ、電波が出ていて観察をじゃますることもありません。
しかもアタカマ砂漠は、とっても高いところにあります。そこは海面から2500メートルにもなる場所です。望遠鏡は、高いところに設置すればするほど、観測する星の光が通らねばならない空気が少なくなります。地球の大気は、宇宙から望遠鏡までやってくる星の光を、ぼやかしたり、散らしてしまったりします。星がキラキラ光って見えるのはそのためなのですが。
ありがたいことに、これら全ての良い条件のおかげで、アタカマ砂漠のような不毛の地につくられた望遠鏡は、この写真のように宇宙のすばらしくはっきりとした画像をとらえることができます。
知っ得ダネ
ガム15のような星雲は、数百万年にもわたって何千もの星をつくりだします。
(ガム15は、オーストラリアのガムさんが集めた星雲のうち15番目のものです)
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