宇宙を切りとった写真は、どんなものでも美しくてワクワクしますが、中にはめずらしいものや初めてのものだったりして、特にすばらしいものがあります。
今回、ヨーロッパ南天天文台のVLT超(ちょう)大型望遠鏡によって撮影(さつえい)された、星の家族のめったにとれない記念写真が公表されました。
めったにとれない写真
これは、ある恒星(こうせい)と2つの系外惑星(けいがいわくせい:太陽系以外の恒星のまわりを回る惑星)を写した星の家族の記念写真です。なにが初めてのことかといえば、若い太陽のような恒星(左上の明るい円)を2つの巨大な系外惑星(中央と右下の2つの小さな点)といっしょにいるところをとった写真ということです。
今日、宇宙には4000こを超える系外惑星が見つかっています。(もっともっと、見つかるといいですね!)しかし、これらの系外惑星のほとんどすべては、直接見ることなく発見されました。どういうことかというと、たとえば中心の恒星の光が周期的にわずかに暗くなることを天文学者たちは調べたのです。暗くなるということは、惑星がその星の前を通りすぎたことを意味しているのです。
明るさの周期的な変化から系外惑星があるのだとすると、今回の系外惑星の写真はすごく特別なものであります。特に、複数の系外惑星を持つ惑星系の写真はたいへんめずらしいのです。惑星はふつう、まんなかの恒星の明るい光にかくされているため、惑星を直接見つけたり、写真にとったりすることがむずかしいのです。これまで、天文学者たちは太陽に似た若い恒星のまわりを回る複数の惑星を直接観測したことはありませんでした。
この惑星系は、地球からおよそ300光年はなれた所にあります。
私たち自身の太陽系を知る
この系外惑星の観測は、私たちの太陽のまわりで惑星がどのように作られ進化したかを理解するのに役立ちます。なぜなら、この系外惑星系が私たち自身の太陽系にたいへん似ているためですが、ずっと若い時代の太陽だということなのです。
この写真の2つの系外惑星は大きなガス惑星です。ガス惑星は、主にガスでできている惑星のタイプで、地球や火星などの岩の多い惑星よりもはるかに大きくて重いのです。これらの惑星の新しい観測は、私たち自身の2つの巨大ガス惑星、木星と土星を理解するのに役立ちます。それでも、写真にうつった2つの系外惑星は、完全に木星や土星と同じというわけではありません。どちらも中心の恒星から遠く、木星と土星よりも重い天体です。実のところ、2つの系外惑星のうち大きい方は、太陽系で最大の惑星である木星の14倍も重いです。
超大型望遠鏡(VLT)
この特別な星の家族の記念写真は、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)で撮影されました。この望遠鏡は、チリ北部のアタカマ砂ばくにあるセロパラナルの山頂にあります。ここはいつも夜空が晴れてまっ暗なため、宇宙の鮮明(せんめい)な観測が可能になります。VLTは実際には4つの独立した望遠鏡でできており、個別に、またはグループとしていっしょに動かす事ができます。これらの望遠鏡はそれぞれ、撮影された光を集中させる大きなおわんのような反射鏡を持っった望遠鏡です。
画像提供:ヨーロッパ南天天文台(ESO) / ボーンさんほか。
知っ得ダネ
この写真の恒星はちょうど1700万年前に生まれたものです。恒星としては若い天体です。まさに私たちの太陽の46億年前の非常に若い姿を見ているようなものです。
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