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星のしょうとつで放射性物質が宇宙にこぼれる
17 August 2018

   みなさんは放射性物質のことを聞いたことがありますよね。マンガや映画などでは、主人公が放射性物質の影響(えいきょう)で、ものすごいパワーのキャラクターに変身したりする、なんていう場面もあります。

   実際には、ある種の元素のとても小さなつぶが、「放射線」という、さらに小さなつぶやエネルギーをふきだす活動をしているときに、そのことを放射性物質の活動というのです。

   私たちはだれでも毎日、このような放射線に少しずつさらされています。岩やガラス、バナナでさえも自然の中にある少量の放射性物質です(有害なほどの量ではありません)。放射性物質から出る放射線は、病気の診断(しんだん)や治療(ちりょう)のために病院でよく使われています。そして、もちろん、毎年世界で数十万トンの有害な放射性廃棄(はいき)物が原子炉によって生産されてもいます。

   これらに加えて放射性物質は宇宙でも発見されています。大量の放射性物質が私たちの住むこの銀河系のあちこちにあることを、私たちは何十年も前から知っていましたが、それらがどうしてあるのかは今までナゾでした。

   上の写真は、ちょっと見るとぼやけたシミのように見えるかもしれませんが、これは壮大(そうだい)な宇宙での衝突(しょうとつ)のあとを見ているのです。

   ずっと昔、太陽のような2つの恒星がぶつかって、星の材料が宇宙に放り出され(オレンジ色の部分)、まったく新しい星が誕生しました。このばく発はとても明るくて、数ヶ月もの間、夜空に新星としてかがやきました。

   星どうしが衝突するのはとてもめずらしいことですが、この出来事に天文学者が興奮(こうふん)する別の理由があります。それは、星をかこんでいる輝く物質には放射性物質がふくまれているからです。

   放射性物質が宇宙にあることを直接検出できたのは、今回が初めてのことです。これはアルミニウムの一種で、放射線をほんのちょっと出すタイプのものです。アルミニウムは、アルミホイルやCDの銀色部分、それに、自転車のフレームのようなものに使われています。

   私たちの銀河には、このような放射性アルミニウムが太陽のおよそ3つ分あります。今回の新しい観測で、少なくともその一部は恒星が衝突(しょうとつ)する時にできたことがわかりました。しかし、この天体の周りには、わずかな量のアルミニウムしか見つかっていないので、おそらくまだ知られていない別の供給源があることが考えられます。

知っ得ダネ

   放射性物質が放射線を放つとき、元の物質から全くちがう物質に変化します。放射性アルミニウムは、やがてマグネシウムという物質に変わります。マグネシウムはいくつかの食べ物にふくまれていて、私たちの体を健康を保つためにとても大切な役割をはたしています。

この記事は、ヨーロッパ南天天文台とアルマ望遠鏡の報道発表によります。

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