よく、いいものは高くつくといいます。でもこの絵の銀河ほど、痛い思いをしているものはありません。この銀河は、このように明るく光り輝くために、文字どおり自分を引きちぎっているのです。
この絵は画家によってえがかれた想像図ですが、「明るい銀河コンテスト」の優勝者を、その近くから見たようすがわかります。この銀河は天の川銀河よりも1000倍も明るいのですが、一番強力な望遠鏡を使っても、はっきりとした写真を撮ることは不可能です。なぜならば、それは120億光年もはなれたところにあるからです。
宇宙には簡単な法則があります。それは、明るい天体になればなるほど、よりいっそう激(はげ)しく、より積極的な活動をしているという決まりです。最もまぶしく輝く天体には、爆発する恒星や星と星との衝突、そしてこの絵のような、だいたい太陽の350兆個分もの光を出す爆発的な銀河があります。
この銀河は特別なタイプのもので、クエーサーといい、その中心には超巨大ブラックホールがあります。このブラックホールは、強力な光と、時速200万kmにもなる粒子のジェットを吹きだしています。
この激しい性質が、この銀河を宇宙一に輝くセレブにしているのかも知れませんが、反対にそのことが、この銀河の寿命(じゅみょう)を劇的(げきてき)に短くしています。なぜって星をつくり出す材料を、あるだけ全部、宇宙に吹きだしているからです。
知っ得ダネ
ほとんどのクエーサーは明るく輝きます。でもわずかですが、驚(おどろ)くほどほこりっぽいものもあります。天文学者は、そのようなクエーサーを、ホットドッグ(Hot DOGS)と呼んでいます。それは、熱くて(Hot)、チリにかくされた(Dust-Obscured)、銀河たち(Galaxies)の頭文字をとって短くした呼び名です。
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