月のない夜、ずいぶん暗い場所に立つと、空に白くぼんやりとのびる光の帯と、乳白色のふくらみ(バルジといいます)が見えるかも知れません。これは、私たちの天の川銀河です。古代ギリシア人はこれを「ミルクの円」(galaxias kyklos)と呼びました。銀河や天の川といったことばは、いずれも「ミルク」のイメージからきています。でも中心にあるかがやくふくらみは何でしょうか。
長い間、天の川はぼんやりとした宇宙にただよう雲であると考えられていましたが、ある日、ガリレオ・ガリレイという人が自分で作った望遠鏡をその雲に向けました。ガリレオは、天の川が実は何百万もの星からできているのを知って驚きました。それらは、ぎゅうぎゅうにくっつき合っていましたので、肉眼ではひとつひとつの星として見えず、全体として光る丸いものとして見えていたのでした。
このバルジは、私たちの銀河の特に混み合っている中心部分です。しかし、今日でさえ、ガリレオの時代より望遠鏡の性能を上げても、私たちは正確にバルジの内部に何があるのかを見るのに苦労しています。これは主に、宇宙塵(うちゅうじん:宇宙のチリのこと)のためであり、星からの光が私たちの望遠鏡に達する前にかくしてしまいます。
しかしながら、すっかり宇宙塵を素通しにできる光があり、赤外線と呼ばれています。赤外線が見える特別な望遠鏡を使うと、宇宙塵のカーテンを見通すことができ、バルジの奥深くに何があるかが明らかになります。こうすることによって、現在ぼうだいな数の星団や星の爆発と行った新しい天体を発見しています。
ごく最近、新しくてびっくりするほどのグループ(星団)が、銀河のど真ん中に発見されました。この写真の上の赤い点は、その場所を示します。金色の星印は、私たちがいる場所です。
これまで、天文学者は天の川銀河の中心には古い星しかないと思っていました。しかし、この発見は新しい星が最近そこでできたということを証明します。私たちが考えていたより、わたしたちの銀河の中心が非常に若いということが明らかになったのです。
知っ得ダネ
わたしたちの太陽系は、天の川銀河の中心と円盤のはしっこの中間に位置します。中心部のバルジから地球上まで光が届くのに26,000年もかかります。
この記事は、ESOからの発表報道によります。
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